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まだ二十代の時のはなし。
元々釣りには無縁の生活だった。中学、高校時代に
たまに行くのも友達と話しの勢いで父親の何用かも
分からない竿とリールを勝手に持ち出し、釣具屋で
適当にジェット天秤と青虫を買ってぶん投げる。
当時は釣り自体を楽しむというより、友達と何か
面白い遊びの選択肢の一つ程度で、途中から飽きて
他の遊びに興じたりといった具合だ。
しばし時が流れ二十歳くらいの頃には
社会人として働きだし、また釣りに縁遠い生活が
続いていたそんな折、ふと高校時代の友人と釣りに
行こうとなり夜の漁港で投げ釣りをしている時に
後の師匠となるUさんと運命の出会いを果たす。
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↑まさにこんな感じ。
年は40代半ば程の小太りの穏やかな物腰が
挨拶程度の会話の端々から伺えるおじさん、という
印象だったが釣りはえげつなかった。
ヘチ釣りをしていたのだが、他にも釣り人がいる中
Uさんだけがチヌ、キビレを歩きながら
ガンガン抜いていくのだ。衝撃だった。
同じ釣りというカテゴリーでこうも差がでるのか!
俺もあんな風になりたい。気が付くと釣りを
教えてほしいとお願いし、連絡先を交換していた。
ここから人生において後にも先にもないほど濃密な
釣りの時間を共に過ごす事になる。
元々凝り性な自分は釣りが上手くなりたいという
欲求のままに誇張なしに毎日Uさんに電話をした。
俺「今日釣りいきませんか?」
Uさん「もうやってるよ、はよおいで」
俺「今日はどこいきますか?」
Uさん「○○漁港で釣れてるから行こうか」
マジで雷雨の日以外はUさんと県内外問わず
全部行った。今思えばほぼ付き合ってくれるUさんも
大概ヒマなんやと浅はかに思っていた。
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基本の釣りはヘチ釣りでフロロの1号とかに
ガン玉とハリに青虫つけて、チヌ、キビレ、メバル、
セイゴ、クロ、アラカブなんぞを狙うのだが
これが突き詰めようとすると中々に奥が深い、
全層を無駄なく探る方法、先調子の専用竿の利点、
潮の見方、魚の活性にあわせた虫の付け方工夫、
ガン玉の調整方法、マル秘ポイントの情報、
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特に一番覚えている釣行は冬の爆風の佐賀の某漁港で
寒さに震えながら探っていると、とある場所で
強烈な当たりがあり成す術なくラインブレイクが
3回続いた、その時のタックルはヘチ用の柔い竿に
ドラグナニソレ?のボロスピニングにフロロ1号だった
解決策が浮かばず少し離れたUさんを呼びに行き
状況を説明すると、ふ~ん、竿貸してみ、と
Uさんがその場所に仕掛けを落とす。速攻強烈な
当たりがあり竿が引き込まれる。あぁ!また切れる
その瞬間Uさんはベールを返し手で押さえながら
ラインを出す。えぇー!そんなやり方でラインが
切られんようにすんのかー!と驚愕していると
「これスズキやな・・」とつぶやき何度か
同じやり取りをして70くらいはあったシーバスを
あげたのだ。普段メバルがメインである、震えた。
ベール返しを覚えたのもその時でこの釣りあげた
スズキという魚の印象がどこかに残っていて今に
繋がっているのかもと思う。。
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そんなこんなで1年程が立つ頃には自分も単独で
ある程度釣果を出せるようになっていた。
そして突然Uさんから別れを告げられるのである。
実はUさんは出会った時、大手電機メーカーを
リストラされ途方にくれた傷心釣行だったのだ、
再就職が決まり家族と県外に引っ越す事になり
もう会えんくなるという・・
たしかに中盤あたりから釣りに誘っても断られる事が
増えておかしいなーとは思っていた。

Uさん「一年通しての考えられるパターンと季節に応じた
   釣りは教えられる事は全部教えたし、あとは自分で
   うまなっていけるやろ、俺もいつまでも無職じゃ
   家族に恰好つかんけな」

正直、二十歳そこらの若造とは言え自分を恥じた。
冷静に考えれば自分の父親くらいの人がそんな暇な
訳がないのだ。何気ない会話の中にそう感じさせる事も
あったはずだ。毎日のように釣りの誘いの電話をする
自分が疎ましく感じる事もあったと思う。
俺はただ自分の欲だけで行動し、相手の事を全く考えて
いなかった。それでも嫌な顔をされた事は一度もなく、
Uさんはいつも俺の事を気にかけてくれていた。

最後の最後別れ際にUさんは、
「あの日お前に出会ってなかったら俺は死んでたかも
 知れんぞー笑。お前に元気もらってまた前を見れた、
 ありがとーなー」

と言って去っていった。泣きそうになるのを堪え笑顔で
感謝を伝え見送り、Uさんが見えなくなって泣いた・・

連絡先を交換してから初めて一緒に釣りに行った時に
Uさんからもらった物がある。
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便利やぞー、と当時はガン玉を号数別、ハリを
形状、号数別で保管し使用していた。
今はスナップやスプリットリング入れに使っている。
もう二十年も立つけど今だに重宝してますよ・・

師匠、ありがとうございます。



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